ローズヒップ種子油ほど大きなマーケティング上の重みを背負う植物油はほとんどありません。「天然レチノール」として売られ、黄金がかった赤い色で珍重され、フェイシャルオイルから無水バームまであらゆるものに配合されます。しかしその名の裏にある素材は、化学的に扱いが難しく、植物学的に一定せず、指定を誤りやすいものです。処方者にとって価値は、ドラム缶の中身が正確にどの油かを知ることから始まります。
どのバラの、どの油か
ローズヒップ油は、野生のバラの種子から — ときには果実全体から — 圧搾されます。最もよく取引されるのは Rosa canina(ドッグローズ)と Rosa rubiginosa の二種で、一部のブレンドには Rosa moschata も現れます。rosa mosqueta として広く売られる Rosa rubiginosa は、スキンケアにおいて最も強い歴史的評判を持ち、しばしば高値がつきます。ラベル上の名前は植物部位の違いも隠しています。Rosa Canina Fruit Oil と Rosa Rubiginosa Seed Oil はどちらも有効な INCI 名ですが、果実油と種子油では色や微量成分の含量が異なることがあります。学名、植物部位、抽出法をまとめて指定し、素の「ローズヒップ油」で済ませてはいけません。
「天然レチノール」という主張を、正直に
レチノイドとしての評判は二つの点に基づいています。天然に微量存在する trans-retinoic acid(tretinoin と同じ分子)と、未精製油に温かみのある色を与える プロビタミン A のカロテノイド です。どちらも実在し、確かに含まれています。正直に付け加えるべき点は、これらが 低く、しかも大きく変動する濃度 で存在し、それは学名・収穫・加工に左右され、処方され安定化されたレチノイドの濃度には遠く及ばないということです。したがってローズヒップ油は、レチノールやレチノイドの機能的等価物としてではなく、肌をととのえるもの — 心地よい物語を備えたエモリエント — として位置づけるのが最も適切です。医薬品並みの有効成分として打ち出せば、規制上も消費者の期待の面でも失望を招きます。
素早く酸化する脂肪酸プロファイル
ローズヒップ油のスキンフィールを本当に支えているのは、その脂肪酸組成です。多価不飽和脂肪酸を際立って多く含み、linoleic acid(オメガ6)が通常は優勢で、alpha-linolenic acid(オメガ3)もかなりの割合を占めます。この不飽和度が、処方者が好むバリアにやさしく素早く浸透する性質を支えていますが、その望ましさを生む二重結合こそが、この油を 非常に酸化しやすく もします。空気・光・熱にさらされたまま放置すると、油は素早く酸化し、異臭を生じ、peroxide value が上昇します。一般的な化粧品用油の中で、ローズヒップは安定性スペクトルの脆弱な端にしっかりと位置しています。